ちょっと横道
営業用のマンガ動画を作るうち、何か別のものが作れそうな気がしました。その一つがムービーによる読み聞かせ絵本です。
Youtubeで「絵本」と検索すると、無数のコンテンツが並びます。当然ですが、そのほとんどが、既存の絵本や自作の絵本の読み聞かせです。
絵本がどれくらい再生されているかというと、例えば有名どころの「はらぺこあおむし」は三年で600万回ほどです。
有名というか、全世界的にも超有名なので当然と言えば当然かも知れません。
ただ、他の無名(というか個人による作品と思われるもの)の作品であっても、再生数は決して小さくありません。
読み手は子供たちですからね。一旦はまれば、延々と見続けます。これがいいのか悪いのか。何事もバランスですよね。走り回って、勉強して、そして絵本やアニメを楽しむのであれば全然OKでしょう。親として、手もかかりませんし。
ただ、商用サイトの場合、視聴者に広告をみてもらうのが狙いです。子供たちに対する広告効果はちょっと疑問です。よって、この手のコンテンツで収益を得ることができるかどうかはやや疑問です。
過剰に期待しないことですかね。
自分のコンテンツか、他人のコンテンツか
イラストを描いて思うのが、イラストの多くは付属品であるということです。特に依頼されて描くイラストの仕事は、作業労働に他なりません。
Youtubeでビジネスコンサルのようなことをやっているイケハヤさんという方がいます。この方の本をKindle unlimetedで一冊読みました。
Youtubeで言ってることと同じことが書かれています。当たり前ですが。
で、自分でビジネスを始める際の注意すべき点について、以下のように箇条書きにしてくれています。(以下抜粋)
- 開業が低コスト
- 無在庫
- 高利益率
- ストック性
- 成長産業
この5点です。例えば、一枚絵でもいいですし、Youtubeのマンガ動画用マンガでもいいです。一般にイラストは
ちょっと極端ですが、こんな感じでしょうか。
開業にはほとんど費用がかかりません。デジタルでしたら、在庫はパソコンのディスクやクラウドの中ですし、元手がほとんどかからない分利益率は高いです。ただ、時間単価が高いとは思えませんので、生活費をコストと考えた場合は、必ずしも高利益率とは言えない気もします。
成長産業と言えるかどうかもちょっと疑問ですが、ネット動画などは確実に成長していますので、ネット動画関連でしたら少なからず成長していると言えるかも知れません。
反面、イラストだけだとストック性はほぼなしと思えます。ストック性というのは、一度作ったものが作った後も利益を生んだり、数が増えることでその後の仕事が楽になるということのようです。
イラストは何かの付属品である限りは、一旦描いて納品して終わりです。収益を得るためには延々と描き続けなくてはなりません。人気が出るほどレートを高く設定できるかも知れませんが、延々と作業を続けることに変わりありません。
音楽もそうですよね。ある曲がヒットしたとして、作詞作曲家に印税は入りますが、歌い手や演奏家にはその場限りの賃金しか払われません。なので、自分で作って自分で歌う、というスタイルになるわけです。が、それには高い才能が求められます。
絵の仕事でストック性があるものとしては、マンガやアニメ等のストーリーのあるものでしょうか。あるいはキャラ。キャラが有名になれば、それが収益を生むかも知れません。ディズニーキャラや、ドラえもんなどがその例でしょう。
今、自分なりにできそうなストック性の高いコンテンツとしては絵本です。今が旬の絵本コンテンツというならば、動画絵本というスタイルがベターではないかと思いました。
また、今回音声を入れてみて、ナレーションが結構楽しいことにも気づきました。生身の身体を生かせる仕事って、やっぱりやりがいが全然違いますね。
収益化うんぬんは置いといても、それなりに楽しいように思えます。
有名イラストレーターたちもコミケで物売りをしている
ファンの多い有名イラストレーターたちも、コミケに参加しては、同人誌やポスター、カレンダー等々、自らのイラストを配したグッズを販売しています。
こうしたグッズは、それなりに元手がかかるせいか、比較的高額です。ファンにとってはお宝なので、お金を惜しまず買ってくれるとは思いますが。
いずれにしても、多くのファンができるぐらいに力量があり、その界隈で有名でないと難しいことです。
同人誌やイラスト作品集でしたら印税が期待できるかも知れません。ただ、グッズ同様、相当有名にならないと作品集など売れるような気がしません。そもそも、この手の本でベストセラーって聞いたことがありません。
絵本の面白さは、子育て経験者の多くが経験する
絵本の創作にあこがれる方って実際多いです。子供たちに読み聞かせているうちに自分自身がはまってしまうのでしょう。かく言う私がそうでした。
地元の児童文学サークルを訪問したことがあります。参加者の多くは子育て時にサークルに参加したようです。ただ、子供が大きくなってしまうと創作意欲も消えてしまう。皆異口同音にそうこぼしていました。こればかしは仕方がありません。かく言う私も同じ症状でした。
読み聞かせる相手がいなくなるわけですからね。それが、いまならオンラインで配信できます。
ということで、さしあたり、以前子供向けに作ったコンテンツを今の技術で再現してみてはどうかと考えました。
侮れない、MACクラシック環境の頃のアプリケーション
動画なので、多少の動きがあった方がいいかも知れません。そこでFlashで作った多少動きのあるコンテンツを最初に再現してみようと思います。
なんせ、作ったのが、2000年前後なので、20年前です。簡単なアニメーションを作るのに、比較的使いやすかったのがFlashでした。今のソフトに比べてもかなり多彩で、使いやすかった、という印象があります。
Flashは今のSVG(Scalable Vector Graphic)形式相当のデータでグラフィックを作り、タイムライン形式で動作させるアニメーションソフトでした。
確か数万円ほどだったと思います。決して安いソフトではないのですが、このソフトで作ったコンテンツは一つしかありません。なんという無駄遣いでしょうね。
それはそれとして、この時に描いたグラフィックは、ブラウザー上では再現できますが、データとして再現するのは今は困難です。どうしても再現したいなら、Macのクラシック環境を入手し(一番いいのは、実機)、手元にあるFlashをインストールすることになります。ですが、元のデータが完全な形で残っているかどうかはわかりません。
そこで、現在のアプリケーションを使い、ブラウザ上の絵を下絵にして新たに描いてみることにしました。
Inkscapeを使ってみる
フリーのベクターグラフィックソフトは10個ほどもあるでしょうか。ソフトを紹介しているサイトもいくつかあります。例えばここ。
どのサイトを見ても、その評価コメントは同じようなものです。単にコピペしているだけじゃね、と思うほどに。
で、大体一押しされているのはInkscapeです。
個人的には、とても使いにくいソフトに感じられます。
機能を優先して、使いやすさは二の次という印象を受けました。
初回の見た目がWindows系ビジネスソフトのような事務的なものに感じられ、可能な限りのカスタマイズを行いました。ただ、基本的な操作性は変わりません。操作性なら、次席のVectrの方がはるかに優れています。
だったら、Vectrでいいんじゃね、と思われるかもしれません。Vectrの最大の問題は、WEBアプリしかないこと。常に画面右にリアルタイムに変化する広告が出てくるのです。そのサイズが気にならないレベルならいいのですが、私的には、明らかに作業の邪魔と言えるレベルです。作業に障害がある・・・致命傷ですね。
その他のソフトも、いちいちログインしなければならなかったりと、面倒が多く、ならば多少使いにくいがInkscapeでいいわい、となりました。
クリスタではダメ?
クリスタもSVGデータが出せるようになりましたし、ベクター曲線が描けます。なので、クリスタでもある程度のSVGデータ(線画のみ、塗りはできない)は作れます。それに、以前Flashを使っていたからといって、なにもベクターにこだわる必要もありません。ラスターデータでもできないわけではありません。
今回はあくまでも当時のFlashを再現してみようと思ったのです。たまにはクリスタ以外のアプリを使ってもみたいですしね。
Inkscapeで描いた絵がトップの絵です。
線画 約一時間
彩色 約一時間
でした。
元絵がありますので比較的短時間で描けました。また、ラスターのような複雑な彩色をベクターで行うのはとてつもなく大変なので、グラデーションのみ使用したシンプルな彩色としました。
ちなみに、Inkscapeが使いにくいと感じられる原因のもう一つは、オープンソースであるが故に、マニュアルが不十分である、という点です。
例えば、今回多用したグラデーションの色指定については、図形の上にあるグラデーションのハンドルの両端のポイントをクリックして、カラーパレットから色を選ぶことで簡単に色を変えることができます。
ところが、この簡単な操作について書かれているマニュアルを見つけられませんでした。(面倒な方法については紹介されています)
アニメソフトには9VAe
この絵(SVGデータ)に、子供たちが瞬きしているだけの簡単なアニメーションをつけます。この編集には9VAeという教育用のフリーソフトを用いました。9VAeはSVGデータを取り込んで、アニメ化できる機能を持っています。
このソフトは、多くのアニメソフトがタイムライン(時間軸方向にアニメパーツが移動したり、変形したりする状態をグラフ化しているもの)を用いているのに対して、コマンドと時間指定で動作させています。
なかなかわかりにくいのですが、アニメキャストという概念がこのソフトの最大の特徴です。これは、ある特定の動作とその時間をひとまとまりのブロックとし、そのブロックを別のブロックに組み入れたり、ブロックを並べたりすることで長いアニメーションを組み立てるというものです。
ただ、この9VAeも動作の確実性を優先したのでしょうか、インターフェイスはプアです。加えて、子供向けを意識してか、手描き(フリーハンド)アイコンです。絵がややわかりにくく、これがまた操作の障害と感じられます。
もし、このソフトが安全にかかわるようなものだったら、命に関わることでしょう。できればオープンソースにして、どなたでもいいのでインターフェイスを改善して欲しいものです。
瞬きキャラをGifアニメ化したものです。
実際に動画にする場合は、ナレーションの長さ(それ以上の長さ)のムービークリップを作り、それらをiMovieに並べ、音声データやBGMを加えていく、という作業になると思います。
この絵本の場合は、基本9枚の絵で作っていました。絵本の一つの形態として、16ページ(表1+見開き7枚+表4)構成を考えたのかも知れません。
一見開き2時間なので、数日で一コンテンツが作れそうです。あとは情熱の問題ですね。エロっぽいイラストに比べると、モチベーションを維持するのが極めて難しいところです。子育て中でもないとなかなか作れませんね。孫の顔を思い浮かべつつ、作っていこうかと思います。
ココナラを覗いてみた
さて、マンガ動画に頭を切り替えたいと思います。実際のところ、マンガ動画の仕事がどんなものか、ココナラを覗いてみました。今回は、受注側の状況についでです。
ココナラは、スキマと同じようなコンセプトのサイトです。
マンガ動画のイラストについては、「漫画・コミック」カテゴリーにあります。アシタノワダイでよく見かけるキャラのイラストレーターもここに広告を出しており、20枚まで、最低3万円としています。
まあ、妥当でしょうね。クオリティ、作業量からするとこの方の場合は、これが最低料金というのもうなづけます。
私がこの金額で提案しても、誰も依頼はしないと思います。
実績作りの出血サービスのようですが、プロの方の中にも一枚500円で提案している方がいらっしゃいます。こんな人たちとどうやって張り合えというのでしょうね。
思ったよりも厳しい世界です。鍛えられるとは思いますけれど。
「マンガ・コミック」の出店数は1500件ほどで、その2割である300件ほどがYoutube等のマンガ動画です。1500件とは言っても、一人の制作者が、複数のカテゴリーに出店していますので、制作者数としては、この半分以下ではないかと思います。
このサイト、全体的にレベルは高いです。
色々調べてみるものだ
マンガ動画、その受注サイト、絵本動画、SVG制作ソフト、アニメーション制作ソフトと、いろいろと調べたり、実際に使ってみました。
イラスト関連の仕事ですが、趣味、遊びで進める分には、まあ刹那的に楽しいのですが、これを仕事にと考えると、よくよく調べた方がいいと思います。制作物ができるだけ後に残り、制作物自体がある程度の収益を生み出すようなものでないと、やがてつらくなり、いつかポキンと折れてしまうような気がします。
残しやすい制作物の例として子供向け動画コンテンツを考えました。アルバイト感覚で、即金性の高い仕事をするのは止むを得ないとしても、時間の一部をこうしたコンテンツの作りだめに費やした方が、長期的にはベターかも知れません。
ただ、子供向け動画絵本だけでは私の場合精神的にプッツンと切れてしまう気がします。アダルトなものと交互に描かないと満足できない気がします。大変な変態です。